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喪服はノーベントが当たり前?

喪服はノーベントが当たり前?

礼服や喪服のマナーで、「ノーベントの礼服(喪服)じゃないとマナー違反です」とネットニュースやブログなどで紹介されています。

私が販売業務を担っている際にも、お客様から「ノーベントの礼服ありますか?」など、問い合わせを受けたこともあります。

そもそも「ベント」って何なのか、ノーベントの礼服が冠婚葬祭には相応しいのか、

今回のブログは、礼服メーカーという商品の作り手側の視点で、この「ベント」について書いていきたいと思います。

ベントって何?

ベントとは、ジャケットの背中側の裾部分にある切り込みのことを指します。

立ち上がったり座ったりする際に、ジャケットに切り込みがないと、ジャケットの生地がもたつき動きにくくなってしまいます。

ベントはそれを解消するためのものです。

ベントの種類

ベントには大きく分けて3種類あります。

【ノーベント】

ベントがないタイプで、モーニングやタキシードなど正礼装に多い仕様となっています。

デメリットは若干の動きづらさがあるかもしれません。

【センターベント】

ジャケットの背中の裾部分の真ん中の縫い目にそってある切り込みで、スーツや礼服(喪服)など幅広い商品に見られる仕様とっています。

アメリカンスタイル(トラッドモデル)のスーツやジャケットには、特に多い仕様で、フックベントはその代表例です。

【サイドベント】

ジャケットの背中の裾部分、左右の縫い目にそってある切り込みで、スーツに多い仕様となっています。

イタリアンスタイル(クラシコモデル)のスーツやジャケットには、特に多い仕様です。

デメリットは、引っ掛けやすくキズになりやすいことです。

喪服はノーベントじゃないマナー違反?

冒頭にも触れた、「ノーベントじゃないとマナー違反??」ですが、まず結論として、礼服(喪服)やスーツはノーベントではなくとも着用可能です。

(タキシードやモーニングなどの正礼装であれば、ノーベントが望ましく、特に海外でタキシードを使用される場合はノーベントの物を探すようにしましょう)

ひと昔前では、確かにノーベントの礼服や喪服を着用しないとマナー違反と言われていました。

しかし、まず礼服メーカーとして言いますと、ノーベントのシングル礼服はここ十年ほど生産したことがありません。

礼服を新たに購入する方は、約70%はシングル礼服を購入されています。

地方ではまだダブル礼服の需要もありますが、都心や日本の主要都市であれば、シングル礼服を購入される方は90%以上だと思われます。

ダブル礼服ではまだノーベントで生産していますが、今やシングル礼服はセンターベントが当たり前の世の中になっています。

なので、シングル礼服でノーベントの礼服を探そうと思うと、かなり苦労する、もしくは商品がない状態ですので、オーダーをする方法しかほぼないです。

 

また実用性から見ても、ノーベントは確かに窮屈で着づらいです。

ひと昔前の礼服は、畳の上で正座することなどを考慮して、スーツと同じサイズであってもワンサイズほど大きく作られてきました。

しかし近年の礼服は、細身の礼服をより細身に、通常型やゆったり型の礼服であっても徐々に作りが細くなっています。

このようなファッションの流れの中で、ベントを入れない(ノーベントにする)という選択は、着にくい礼服となってしまいますので、そういった面でもノーベントの礼服は作られることがありません。

ノーベントでなければマナー違反など言っている場合ではないというところが、礼服メーカーとしての答えとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ひと昔と違いファッションが大きく変更しておりますので、マナーなども徐々に変わってきています。

ただしルール上は、「ノーベントが望ましい」ということは間違く、もしノーベントの礼服をお持ちであれば、それを着用することが大正解となります。

サイズが合わなくなってきたのであれば買い替える必要でありますが、わざわざセンターベントの礼服を購入する必要はありません。

皆さんのお役に立つ情報であれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。